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「森の駅発」メルマガ第63号
=連載 山小屋通信–6 & 木の美しさを著した名文紹介=
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山小屋通信–6 「イノシシ大活躍」 大森 明
イノシシはスゴイ。まずは土掘りのパワー。
水道管は掘り出すは、植えたばかりの木の苗木は崖下まで吹っ飛ばすは、
風呂桶ぐらいの穴ぼこは平気で掘っていく。
偶然、遭遇したことがあるが、前足でザクザク掘る体型には見えない。
ひたすら顔(鼻)と牙で掘っているのだろうか。
掘削の目的は書物によれば、ミミズや木の根、根菜などらしい。
確かに落葉樹の落ち葉がたくさん堆積するので土は黒く、ミミズは太さ
1cmくらいのやつが居る。百合の根や藤の根もたくさんある。
里の農家の人は作物を荒らされて、大変だと聞いているが、こちらにとっ
ては先住民なので、だまって穴の埋戻し作業にとりかかることにしている。
=次号に続く=
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木の美しさを著した名文の紹介:
産経新聞記者時代の司馬遼太郎が企画した連載「美の脇役」は、1958年から産経新
聞大阪版文化欄に毎週掲載。(2005年光文社知恵の森文庫収録)。その中より抜粋。
まだまだ日本各地に木で、或は石で作られた先人の美が残っていた時代である。我々
の世代は校倉と見て「あぜくら」と当たり前に読むが、今の若い人達はどうだろう?
No.49 正倉院校倉(あぜくら)の校木(あぜき)同志社大助教授/小川光暘
玉を抱いて千年
正倉院の門をくぐって、めざす宝庫の前にたたずんだ人々はそれが、巨大な
建物であることに、まず一驚するだろう。
近ごろはやりの文化住宅の中に床下をうんと高くとった形式があるが、正倉
院の宝庫の床下は高さ2.4メートルもあって、普通の建物の1階がすっぽり入る
だけの空間をおしげもなく開放している。しかもこの建物には階段がない。
必要な時に、わざわざ階段を装置して、ふだんは取りはずしておくのである。
この高い床の上には、ひとかかえにあまるほどの校木という三角材が十数本、
はるか軒下にとどくまで規則正しく積み上げられて、いわゆる校倉造(づくり)
の壁面を構成している。その三角材のかたい稜角は、遠くでながめると、まる
で外部の侵入者を、ただかたくなにこばむだけの働きしか持たないようにも見
えるのだが、その1本1本の表面には、1200年にわたる風雨とのたたかいの間
に刻みだされた、古木のマチエールがにじみ出ている。
正倉院と聞けば、私たちは、あの色あでやかな宝物のかずかずを思いおこす
のだが、世界にもまれな美の保全を可能にしたこの強固な材壁にも、枯淡な美
の横顔がひそんでいる。(横組みのため算用数字に変換の他は原文のまま)
(正倉院)聖武天皇の遺品、中国からの舶来品、西域・ペルシャの伝来品が保存されて
いる。もとは東大寺に属していたが、明治17年から宮内省の管轄となり、いまは宮内
庁が管理している。校倉造は木材の多い中国の西南部、ヒマラヤ、シベリアでよくみら
れる建築方式で、屋根にかわらがあるほかはかべや土の類を用いないオール木造。
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