化学物質低減の家

住居内での室内空気汚染に由来する様々な健康障害を総称して、シックハウス症候群と呼びます。

シックハウス症候群というと、新築やリフォームをしたときだけの問題で、住宅を建てるときに使用される建材からの化学物質だけが原因と思われがちですが、建材以外にもカーテンやじゅうたん、家具などから揮発する化学物質や、日常生活用品、ダニやカビなど様々な原因によって室内空気が汚染されています。

厚生労働省が室内濃度指針値を設定したシックハウス(室内空気汚染)問題に関する13物質(ホルムアルデヒド等)の基準を守るのは当然ですが、新しい化学物質がどんどん登場し、その中には安全性が確認できていないものも多々あります。
体調に影響が出る揮発性有機化合物(VOC)などは、防水材、断熱材、緩衝材、難燃剤、接着剤、塗料に多く含まれていますが、その中から施工7日後の有害物質の揮発が0に近いものが望まれます。
少しずつ揮発していくものは、臭いに気づかないだけに、特に注意が必要です。
施工後には十分な換気をし、臭いが無くなってから入居していただくのは当然なことです。このほか、殺虫剤系(ネオニコチノイド、ピレスロイド、有機リン、パラジクロロベンゼンなど白あり駆除剤などで使用される)、イソシアネート系(主に塗料の硬化剤として使用される)、 高沸点溶剤(ミネラルスピリット、テキサノール等)は、使用しないことが望まれます。可塑剤はできるだけ含まないものが望まれます。

有害性が指摘されている化学物質は、呼吸>経口>経皮の順で体調への影響が大きいとされています。もちろん、揮発量や毒性によっても影響に差が出ます。揮発や溶け出すことの無いものは安全といえますが、臭いで判別できない無臭のものも多いので注意が必要です。

換気は極めて重要です。
建築基準法で義務付けられている常時換気の設備では不十分です。
空気の流れ、換気扇と給気口の位置・仕様、暖房器具の種類などによっても空気環境は変わるため、十分な注意が必要です。

木には空気を浄化する機能がありますが、住宅の高気密・高断熱化が進み、新建材と呼ばれる化学物質を含有した建材を多く用いたことにより、室内空気が化学物質などに汚染され、そこに住まう人の健康に悪影響を与えてしまうようになってしまいました。
原因も症状も多種多様で、ひとつの原因やひとつの症状、ある一面からの定義だけでは正しく理解することができません。シックハウスが悪化して、様々な化学物質に過敏となった化学物質過敏症を含め、発症のメカニズムなど、まだまだ未解明な部分が多くあります。