自然材を使用した場合には、接着剤を使用せず、木部の素地表面をそのまま表わしていますので、木そのものが呼吸できる状態です。
そのため、木部が調湿機能を発揮しています。柱や梁の構造材そのものを見せたりして、無垢の板材を床や壁面などに張り込む提案をイメージしています。
これらによって、木材の調湿機能が顕著に感じられる住まいになると考えています。
室内の湿度の変化が少ないと、快適に感じます。健康にとって大変重要です。
Q1.無垢材と集成材、高温乾燥と天然乾燥・低温乾燥で調湿機能は違うのか?
A. 木材は急激に熱を加えて乾燥させると、多くの細胞膜に傷がつきます。
そうなると、集湿機能はあっても、調湿機能がなくなりますので、木材の多孔質の良さが発揮されにくくなります。
細胞が壊れないよう、自然に近い乾燥方法でゆっくりと水分を抜くことが最も重要であると考えています。
Q2.柱が見えていることが影響するのでは?
A. 室内に木部の露出面が増えますと、調湿機能も増していきます。
木が呼吸ができるので、長持ちしますし、自然に近い方法で乾燥させた柱・梁は、時とともに飴色などの美しい木肌になっていきます。
その美しさを、我々作り手としては、あえて隠さずに設計デザインに活かす考えが木の家の意匠と思います。
Q3.漆喰や珪藻土などの塗り壁は、木よりも調湿機能が高いのでは?
A. 一般に、土壁などは、厚みのある塗り壁にしなければ、調湿機能は生まれません
Q4.無垢材のフローリングは?杉のようなやわらかい木の方が吸湿力あるのでは?
A. 杉は、代表的な日本の木材です。杉が柔らかいのは、比重が低い素材のためです。
自然素材の継ぎ目は、乾燥した冬場に隙間が空いていても、夏場、湿気を吸って膨張し、ぴったりと隙間が埋まったりします。これはひとつの調湿現象の結果です。
フローリングでは塗料も重要です。硬度の高いウレタン塗料を使用すると、調湿機能は大幅に劣ります。硬度はどうしても低くなりますが、自然塗料は木の床の調湿機能を維持するため、おススメできるものです。
Q5.断熱材はどうなんでしょうか?
A.紙を素材とするセルロース断熱材や羊毛断熱材を使用した場合には調湿性がありますが、その他の材質のものは、調湿性はありません。但し、セルロース断熱材、羊毛断熱材でも、断熱材の固定のため内側にシートを使用した場合は、そのシートの材質によってはその機能は生かされないので、注意が必要です。