メルマガ124

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「森の駅発」メルマガ NO.124 2019 December
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
★ 今年の新聞記事から 岡本 守生
 「プラ食べる細菌」・「杉はもう悪者じゃない」
★ 木材関連展示会見学レポート 戸田 吉彦
 「エコプロ・ウッドデザイン賞・モクコレ」
★ 山小屋通信 大森 明
 「ミカンの木で作る正月グッズ」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

今年の新聞記事から 岡本 守生
「プラ食べる細菌」・「杉はもう悪者じゃない」

今年は平成から令和へと元号が代わり世界各国から賓客を迎えるニュースの一方で、
各地に台風・水害などの被害が大きい年でした。
改めてお見舞い申し上げますと共に、被災地の皆様のご健康と一日も早い復興を願い、
来たる年が健やかで実り多き年となりますよう心よりお祈り申し上げます。

また今年は、森林や国産木材の活用、環境保護の面で目についたニュースもありました。
そのいくつかの記事の中から一部をご紹介いたします。(文責:編集部 戸田)

▶︎ 大阪発「プラ食べる細菌」脚光(朝日新聞6月25日)
PETを分解 ごみ対策へ各国が研究
堺市内で見つかった細菌が世界の注目を集めている。ペットボトルを「食べる」性質があり、プラスチックごみ対策の切り札にしようと各国で研究が進んでいる。プラごみによる海洋汚染が国際的な問題となっており、プラごみ削減は今月末に大阪市で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会談の主要テーマの一つ…
この細菌は堺市内のペットボトルの処理工場で、京都工芸繊維大学の小田耕平教授(現・名誉教授)らが見つけた。発見場所にちなんで、2005年に「イデオネラ・サカイエンシス」と学名がついた。その後慶応大学に在籍していた吉田昭介さん(現・奈良先端科学技術大学院大特任准教授)らの研究で、この細菌は特殊な2種類の酵素を出して、ペットボトルなどの素材として利用されているポリエチレンテレフタート(PET)を分解し、栄養源としていることがわかった。厚さ0.2ミリのPETを、約1ヶ月で二酸化炭素と水にまで分解する…(2017年に中国、今年に入りドイツが二つの成分それぞれの分析に成功。国際的な注目を集め各国で研究が進む内容の記事が続きますがスペースの関係で割愛します。詳しくは digital.asahi.com/ )

▶︎ 杉はもう悪者じゃない(朝日新聞6月15日)
調湿、大気浄化、リラックス効果…
建築素材としては格下で、花粉症の代名詞のように扱われ、マイナスイメージが強い杉。しかし最近の研究で、すぐれた調湿機能や空気清浄機能を持ち、人をリラックスさせる効果が大きいことなどが次々に明らかになってきた。杉の香り成分ががん細胞の増殖を抑える可能性を示す研究結果もあり、医療へ応用する研究も期待されている。
国宝・正倉院の宝物。さびやすい鏡や刀、変色や劣化を起こしやすい服や紙が、今も1300年前とほぼ変わらぬ姿を見せているのは驚きだ。その裏に日本固有の樹種、杉の存在がある。杉は断熱性や調湿機能に優れる。宮内庁職員(当時)の成瀬正和さんは2001年4月のほぼ1ヶ月、温度と湿度を測定。外気の湿度は10~100%を記録したが、ヒノキで作られた校倉造りNO庫内は50~80%、宝物を入れた杉板製の唐櫃の中は60~70%と極めて安定していた。一般的にカビやサビを防ぐには湿度70%以下書籍の保存には40~75%が望ましいとされる。
立ち木から出るフィトンチッドが人をリラックスさせる森林浴効果は広く知られているが、伐採後の材木からも樹種固有の香り成分が常時漂い出て、大気中の汚染物質を吸着し浄化すると同時に、人体に良い影響を与える。京都大学名誉教授の川井秀一さん(木質材料学)の研究では、杉材の浄化能力は極めて高く、二酸化窒素の吸着量はブナの5倍、ヒノキの6倍。シックハウスの原因物質ホルムアルデヒドを吸着することも確かめられた。内装に杉板を使った家に住む人から「眠りが深くなった」「風邪を引きにくくなった」「肌がきれいになった」などの声が出ていることを知った川井さんは、杉の香り成分が体に与える影響を調べた。

…(以下、がん細胞の増殖抑える可能性 発達障害の児童 落ち着いて勉強 の記事はスペースの関係で割愛
いたします。詳しくご覧になりたい方は朝日新聞デジタル digital.asahi.com/ で検索してお読み下さい。)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

木材関連展示会見学レポート 戸田 吉彦
「エコプロ・ウッドデザイン賞・モクコレ」


上段より:ミライのクルマ・ウッドデザイン賞・緑のダム北相模の小林理事・モクコレ・iconの林先生

12月は毎年「ウッドデザイン賞」を発表する「エコプロ」と全国の銘木と木材ビジネス
を紹介する「モクコレ」という2つの大きな木材に関する展示会が、東京ビッグサイトで
開催されました。エコプロには、「森の駅推進協議会」の幹事が活躍する「緑のダム」と
「ちば里山センター」が出展、モクコレでは、森の駅推進協議会の「健康住宅研究会」が
「森に愛される家」でご協力頂いた林先生の「日本インテリアコーディネーター協会」が
出展。今年のエコプロ、モクコレ、ウッドデザイン賞の見どころをまとめてみましたので
来年の見学、さらに出展や応募の検討をされてみてはいかがでしょうか?

▶︎「エコプロ 2019」 (12月5日6日7日・東京ビッグサイト)https://eco-pro.com
毎年12月に(一社)産業環境管理協会と日本経済新聞社の主催で開催。今年21回目。
テーマは「持続可能な社会の実現に向けて」だが、2018年は「SDGs実装元年」今年は
「SDGs経営元年」と、近年は特に SDGs EXPO ゾーンが強く打ち出されています。
その他、2年ぶりに参加したトヨタはじめ各業界の企業・団体、省庁自治体の環境への
取り組み発表ブース、大学・教育機関コーナー、生物多様性ゾーン、グリーンストアーズ、
海洋プラスチックゴミ対策コーナー、楽しく学ぶ容器包装3R、ナノセルロース展、日本
の棚田、エコプロアワード等500以上。その中で目を惹いた「環境省・ミライのクルマ」
「林野庁・ウッドデザイン賞」「森林から始まるエコライフ展」を紹介します。

▶︎「環境省 COOL CHOICE 」コーナー「THE FUTURE CAR ミライのクルマ」展示。 
NCV ( ナノセルロースヴィークル ) は、木からつくられた自然なクルマです。
自動車は CO2 排出量を大幅に減らすために、電動化と軽量化の研究が急速に進むが、
いま軽量化の素材に注目を集めているのが、植物を原料としたナノレベルの強化繊維 =
セルロースナノファイバー ( CNF ) です。環境省はその CNF を使った車 NCV に挑戦。
4年間のプロジェクト「セルロースナノファイバー ( CNF ) 等の次世代素材活用推進事業」
の集大成としてコンセプトカーを発表。現在は現行素材と比べ10%軽減まで実現。

▶︎「JAPAN WOOD DESIGN AWARD(ウッドデザイン賞 2019 )」林野庁補助事業
ウッドデザイン賞は「木」に関するあらゆるモノ・コトを対象に、暮らしを豊かにする、
人を健やかにする、社会を豊かにするという3つの消費者視点から、優れた製品・取組等
を表彰するものとして5年前からエコプロ会場で表彰と作品発表を行っています。
 応募対象分野 
 建築・空間・建材・部材分野/木製品分野/コミュニケーション分野/技術・研究分野
 表彰部門
 ライフスタイルデザイン部門/ハートフルデザイン部門/ソーシャルデザイン部門
 総応募数 413点 受賞数 197点 最優秀賞1点 優秀賞9点 奨励賞15点 特別賞4点
 ・最優秀賞 ( 農林水産大臣賞 ) 表彰:ソーシャルデザイン部門 応募:技術・研究分野
「日本初となる中高層木造ハイブリッド建築を実現する技術の実証」
  三菱地所株式会社、竹中工務店、山佐木材株式会社、田島山業株式会社
 公式ウェブサイトに全受賞作品が紹介されています。https://www.wooddesign.jp/

▶︎「森林から始まるエコライフ展」
SDGs 17項目のうち、主に14目標の達成に貢献できる「持続可能な森づくり・木づかい」
などを通し、新産業創出・地方創生や森と木のある暮らしを提案するゾーン。29社出展。
(共催:美しい森林作り全国推進会議・国土緑化推進機構)「森の駅推進協議会」では
柴崎幹事の「ちば里山センター」と小林幹事の「緑のダム北相模」が出展。

▶︎「モクコレ(WOODコレクション)」(12月10日11日・東京ビッグサイト)
東京都主催(運営:WOODコレクション(モクコレ)実行委員会) 後援:林野庁ほか。
木材における国産価値を見出すと共に、今後の木材産業発展に向け、日本全国の木材製品
と技術の展示を一堂に会する木材製品展示商談会。5回目の開催となる今回のテーマは、
「JAPAN WOOD.JAPAN PRIDE. ー日本の木材 日本の誇りー」。過去最多の41都道府
県から合計268の企業・団体が参加。様々なトークショーやセミナープログラムのほか、
特別展示では全国の都道府県の様々な国産材に出会える国産材コレクションコーナーや、
エコプロでも発表された「ウッドデザイン賞2019」受賞作品の展示コーナー。
また「森の駅推進協議会」の「健康住宅研究会」が「森に愛される家」を打ち出した時に
ご協力頂いた「日本インテリアコーディネーター協会(icon)」は、食卓から考える「木
と森のこと」をテーマに、毎日長時間目にする身近なインテリアから木材の利用を提案。
化学染料を使わない羊毛のラグ、自然素材のファブリック、再生ガラスのタイルなど、
インテリアから始まるエコでサステナブルなライフスタイルをブースで体験できました。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

山小屋通信 大森 明
「ミカンの木で作る正月グッズ」


柑橘系の木に黄色い実が目立つ季節。
葉だけでは判りにくいが、温州ミカン、ハッサク、キンカン、ユズなど
それぞれ個性のある実がぶらさがると、
眼が悪い当方でも実を見て木の種類が判別できて嬉しい。

我家ではそのまま食べる、煮る、風呂に浮かべる、正月飾りに使う等、
この季節にお世話になる実のなる木だ。
そんなミカンの木は我家の庭にも親族の家の庭にもあり、

剪定を手伝うと太めの枝が手に入ることもある。
その枝を木工作品の材料にすることも多い。
今までは枝を輪切りにして、太さ2~3cmのものは木製車両玩具の車輪に、
太さ10cmくらいのものは絵入りコースターにしていたが、

年末ということで干支の置物(ねずみ)と木製鏡餅をミカンの木でつくることにした。
ミカンの木は切断面を見ると白っぽくて木目が目立たない、けっこう硬い木だ。
白っぽい材なので鏡餅と白いねずみにすれば丁度良いではないかと思ったのだが、
硬くて想像以上に加工しづらい。

干支の置物(ねずみ)は腐朽菌にやられたウッドデッキ材(レッドシダー材)を使って
数ヶ月前に「一刀彫り方式」で1匹作っていたが、
今回はねずみの耳をうまく削り出せず、ついに「両耳後付け方式」になってしまった。
ノコでザクザクとカットしてから小刀で削り、
ヤスリがけして何とかねずみらしき形になった。
耳をボンド付けし、尻尾はアケビの蔓を装着して出来上がった。

木製鏡餅のほうもノコで大まかにカットしてから小刀で形を整え、ヤスリがけ。
スベスベになるまで磨くと、白っぽい材なので本物の餅みたいになった。
三方だけは餅の白さを目立たせようと赤みのある材(杉と松)でつくったが、
餅の上に乗せるミニサイズミカンはミカンの枝を球形に削って作った。

これで正月からミカンづくし、風邪をひかない年になればよいが、どうなるだろうか。