家具選びの留意点

健康住宅として重要な要素である、室内空気質に影響を与えるのは建築材料だけではありません。生活に必要な家具もその影響要因の一つになります。ここではシックハウス対策の一環としての家具選びについて述べます。
家具と一言で言っても、様々な用途、様々な材料のものがあります。一般的に思い浮かぶのが収納用の家具、次に生活空間を作るソファやベッド、テーブルなどが挙げられます。

※ここでは建築基準法上での造り付け家具ではなく、後から設置する家具について述べます。

一般的に木質系の家具を選ぶ際、合板など木質系材料に含まれる化学物質が懸念され、できれば無垢材の家具を選ぶことを勧められます。但し、例え無垢材であっても塗装部分の塗料からの化学物質放散の注意は必要になります。もちろん合板家具が一概に問題があるわけではありませんが、過敏な方は避ける方がよいでしょう。

最近はF☆☆☆☆マークがついている家具ということでシックハウスにはならないと勘違いされておられる方もいますが、あくまでもホルムアルデヒドが規制されているということで他の化学物質の影響が全くないということではないことを知っておく必要はあります。

また、収納家具の場合、収納内部に化学物質が滞留しやすく、扉を開けたときに高濃度の化学物質が室内に放散したり、収納していた衣類に移る場合(移染)がありますので注意が必要です。
その他、ポリプロピレンなど収納ケースの場合もにおいを嫌う人も多く、その場合は購入を避ける方がよいでしょう。また、ポリケースの場合においてはにおい以外も吸湿の問題でカビの心配もあります。

収納家具以外の生活空間を作るソファなどにもそれ自体の素材や難燃剤などの添加剤によって、室内空間にそれら物質が影響する場合があります。

購入時にはまず店員の方に事情(シックハウスに関心がある、化学物質に過敏であるなど)を説明し、その対応に問題があればそのお店での購入は再検討した方がよいかもしれません。

また、展示品に実際に触れたり、においを嗅ぐなども対応の一つですが、気を付ける点としては、展示品でにおいに問題がない場合でも実際に家に送られてきた新品とは違うというケースもあります。展示品は広い空間に長い間置かれており、その間に気になるにおいが放散している可能性が高いからです。

ここで大切なのは室内空気に影響を及ぼす可能性の低い家具を選んだからといって住宅における換気をしなくてもよいということではありません。新鮮な空気を取り入れ、汚れた空気を外に出す換気の重要性をしっかり知っておくことが大切です。